2011年3月4日、さいたま市2月定例会で、「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」通称、ノーマライゼーション条例が、千葉県、北海道についで3例目、政令指定都市では初めて、可決されました。(保健福祉委員会では全会一致、本会議では反対1の圧倒的多数で可決)

この画期的な条例を空文化することなく、施策の隅々に活かしていくことが問われています。

条例は、障害がある人の地域での共生を目指し、差別や虐待を禁止。自立や社会参加への支援を市が行うことを定めました。差別や虐待の訴えがあり、当事者間で調整がつかない場合は、障害者や市民なども入った「権利擁護委員会」をつくり、あっせんや勧告をするというもの。

 また、関連して予算には、保証人不在などで、今までは難しかった障害者の民間住宅への入居を支援、賃貸契約の相談に24時間応じるサポート事業を条例制定と同時に試行。新年度予算に約727万円が盛り込まれました。さらに、今まで利用範囲を余暇活動での外出時に制限していた「移動支援事業」の対象範囲を通学・通所を含めるよう拡大。介助者の人件費などとして、9億1900万円を増額されました。

 制定にあたって、学識経験者などによる条例検討専門委員会、市内のほぼすべての障害者団体の代表による100人委員会が作られ、活発な議論が行なわれました。その意見集約の上に議案が作られました。
 これは「われわれのことを我々抜きで決めるな!(Nothing about us without us!)」という障害者権利条約の精神に基づいた画期的なものでした。

2011年3月4日2月定例会本会議にて傳田議員が行った賛成演説(賛成討論)

議案第42号「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」について委員長報告に賛成の立場から討論いたします。

 この条例の制定については、昨年1月に「条例検討専門委員会」が、3月には「100人委員会」が初めて開かれ、ほぼ1年後の、今定例会に上程され、保健福祉委員会では全員一致で賛成となったものです。

 1年という期間では短すぎるという懸念も最初のころはありましたが、10回にわたって開催されたそれぞれの委員会では、熱く議論が戦わされ、「100人委員会」については皆さんの要望で急遽もう1回追加され、制定の期間は長さではなく、その充実度にあると痛感しました。また、サッカーの試合の際、手話の応援とともに条例の周知が行われましたし、条例を誰にでもわかりやすくする学習会、ノーマライゼーション教育に関する講演会も行われ、委員会の開催以外でも様々な取り組みが行われました。

 制定に関しては非常に中身の濃い、充実した1年でした。その結果まとまったのがこの条例です。中身についてもこの条例は2006年国連が採択し、日本も署名している「障害者権利条約」の理念をふまえたものであることは議会での市長答弁により明らかですし、この条例前文にも謳われています。

 ノーマライゼーションの理念をこの条例をもってさいたま市から発信できることは非常に喜ばしいことでもあります。

「義務規定や努力規定は実施上の規則等を制定する際は議会と協議をすること」という付帯決議も付けられましたが、こうしたことで議会が障害者問題と向き合うことは意義あることと思います。市民会議も設置されるわけですから、大いに討議できる機会が増えるのではないでしょうか。

 利益を求めるためのものではなく、普通に生きていくことを支援するこの条例の制定で、さいたま市が市民の誰もが分け隔てられることなく一緒に暮らせるまちになることを願って賛成討論といたします。