ノーマライゼーション条例についての委員会審議(2月9日)

傳田ひろみ委員 では幾つか質疑させていただきます。
思えば去年の3月末でしたか、初めてその100人委員会が開かれて、それから去年 12月の初めまで11回、本当は10回開くということだったのですけれども、どうしても最後に1回ということで、計11回開かれました。延べ人数がどのくらいというので、本会議場でも質問がありまして、延べ人数800人という方々が出席されて、その100人委員会で皆さんの声を本当にいっぱい吸い上げながらできた条例だと思っております。


 鳥海委員の言葉にもありましたように、最終報告、市長に答申された最終報告ですね、それがパブリック・コメントになって一般市民の方にも提示されたのですけれども、私はその最終報告案を持っていましたので、その最終報告案とこの条例の文を比べてみました。つぶさに比べてみました。やはり違うのです。どうしてこう違ってきてしまったのかなというところを、添野委員からも出ていますけれども、その辺をどうしてもお聞きしたい。先ほど幾つか言葉の入れかえ、文章の入れかえとか文言の整備というのは、条例にするためにはいたし方なかったのかなと思いますけれども、先ほど当たり前にという言葉がなくなってしまったこと、本当に当たり前にという言葉は大事なことなのです。いかに今まで障害を持った人たちが当たり前に生きてこられなかったかというその意味が含まれているのです。だからこの当たり前にというのは絶対にとってほしくはないと思っております。


私も一々言うときりがなくなるので、これだけはというところを申し上げます。
まず、鳥海委員から質問があったのですけれども、合理的配慮に基づく措置というところです。この合理的配慮というのは、障がい者制度改革推進会議でも今非常に重要になっているところでもありますし、いろいろ解釈の仕方はあると思うのですけれども、この条例文見ると、「用具又は機器の提供、建築物又は設備の改修その他の当該障害者の環境を調整する措置」とどうしてもハードの部分しか読み取れないのです。先ほど障害福祉課長が例を挙げていましたけれども、例えば車いすで机の下に入れないようになっていた場合は机を取り替えるとか、それもハード的な部分の説明でした。これはハード的な部分だけだったらば福祉のまちづくり条例でもうたっているのではないかと思うのです。やはりここは理念の問題だと思うのです。ソフトの部分は人的な部分でなければならないと思っています。
この条例は、障害者の権利に関する条約をもとにしてつくられていると思うのですけれども、その権利条約でも合理的配慮とは、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるもの」であり、必要かつ適当な変更及び調整であってと非常に理念的なことがきちっと語られているということで、やはりその部分をとても大切にするのだとしたらば、もとのこの最終報告案ですね、最終報告案の合理的配慮というのは、「等しく市民として障害者の個人の尊厳及び権利が尊重され、その権利を享受し行使するために必要な日常生活等を支障なく営むことができるようにするために提供される当該障害者の環境を調整する措置」と権利条約に近い文言で書かれています。やはりこの文言は、尊重されるべきではなかったのでしょうか。その辺のところをお答えいただければと思います。


○上三信彰委員長 障害福祉課長


障害福祉課長 まず、1つ目の文言の整理の部分でございますけれども、法制上どうしても使用可能な文言という形で整理をさせていただいたり、構成の形式を整えさせていただきまして、若干要綱、報告案とこの今回の条例案の違いが出ております。しかし、基本的には答申を受けた要綱案の内容に変わるものではございません。なお、今後わかりやすく解説した簡明版等も作成していきたいと考えております。
2つ目の合理的配慮の部分でございますけれども、障害者の権利に関する条約の理念、これはこの要綱、条例案でも前文の部分、また目的の部分でもうたってございますので、あえてこの合理的配慮のところにはうたってございませんけれども、その精神はその中に含まれております。
また、条例案では、例示としてハード面では用具または機器の提供、また建築物または整備の改修ということで、ハード面の部分の例示、そしてソフト面につきましては、先ほど申し上げましたように、多種多様のために例示することができず、その他としているものでございます。ですから、決してその人的な合理的配慮を抜いているということではございませんので、御理解をいただきたいと思います。


傳田ひろみ委員 そうしますと、この条例文にある「用具又は機器の提供、建築物又は設備の改修その他の当該障害者の環境を調整する措置」、この中にこの文言の中にそういうソフト的な部分というのは入っているわけですか。


障害福祉課長 そのとおりでございます。


傳田ひろみ委員 そのとおりというか、どの部分がそれに当たるのか、どの言葉がそれに当たるのか。


障害福祉課長 環境を調整するという部分で、そのソフト面も含まれているということでございます。


傳田ひろみ委員 「環境を調整する」と、そこにすべてを入れた、これは非常にわかりにくいと思いますし、この条例は本当に政令市初めての条例で、全国的にもかなり注目を浴びることになると思うのです。そうすると、環境調整するとその中に合理的配慮という言葉が、合理的配慮の意味するものが全部含まれるとは、いろいろ説明を受ければわかるかもしれないのですけれども、なかなかわからないと思うのです。そうすると、さいたま市でできた条例というのは、合理的配慮というのは、単にハード的なものをどうにかすればいいのかという話になって、これは恥ずかしいのかなと考えるのですけれども、その辺のところはいかがお考えでしょうか。


障害福祉課長 除外規定のところにソフト面の例示を入れさせていただいておるわけでございますけれども、業務内容を変更する措置で事業活動の目的の達成が妨げられるものという部分が、ソフト面の例示の除外の部分でございます。
一方、そういった配慮をすることが合理的配慮に基づく措置となるかと思います。


傳田ひろみ委員 余り明瞭ではない、よくわからないのです。例えば千葉県の条例では、結構具体的に8項目にわたって書いてあるのですけれども、例えば福祉サービスを提供し、または利用させる場合においてとか、それから医療を提供し、または受けさせる場合においてとか、商品またはサービスを提供する場合においてとか、いろいろ書いてあるわけなのです。その場合において合理的配慮とわかりやすくこの部分は書けなかったのかということをもう一回お聞きします。


障害福祉課長 先ほど申しましたように、本当に個々のニーズによった配慮というのはさまざまでございますので、千葉県ではこの8つを入れていますけれども、ただこれ以外は逆に言えば配慮に当たらないという形になってしまいますので、本市の条例としては、その他とさせていただいたところでございます。
あと合理的な部分では差別の部分、9ページ目のところになりますけれども、教育と雇用の部分でその合理的配慮という部分をうたわせていただいておりますので、そこで確認できるのかなと考えております。


傳田ひろみ委員 では、その環境を調整するというところにすべて千葉県のよりももっと広い範囲で含まれていると解釈してよろしいわけですか。


障害福祉課長 はい、そうでございます。


◆傳田ひろみ委員 ではそれでオーケーです。