2.立場の弱い方々のコロナ禍での暮らし
昨年の今頃にはまだ予想さえできなかったコロナの感染が私たちの暮らしを根底から変えています。コロナ禍というこの危機をどう乗り切っていくか、またこうした状況だからこそ露呈した課題を中心に質問させていただきます。
(1)介助・介護が必要な方々への対応について
① 要介助・介護者やそのケアラーが感染した場合の対応について
介助・介護を受けながら日々暮らしている方たちにとって終息の見通しが立たないこのコロナ禍はまさに命に係わる深刻な問題です。本人はもとより、介助・介護するヘルパーや家族が感染し、隔離を余儀なくされたとき、残された障害者や高齢者はどうなるのか。独自策を打ち出している自治体もあります。堺市は在宅ケア継続支援事業、神奈川県は「短期入所協力施設」を5か所確保、神戸市は一般利用休止中の保健センターで受け入れ態勢を整えるなど自治体独自に支援をしています。埼玉県は要介護高齢者については県内5か所の高齢者施設の敷地内に応急仮設住宅を設置、20人分の部屋を確保、障害者は、施設内の既存建物を活用し、2カ所8人分を確保している。ただ、慢性的なヘルパー不足で平時でもギリギリで対応している状況でこうした施設でのヘルパー派遣はかなり難しいと思われます。ヘルパー確保の問題も含め、市としての対応を伺います。
② 施設に対する支援策について
障害者を支援する事業所の全国連絡会「きょうされん」の調査によると、このコロナ禍で多くの就労施設の利用者が減収に悩んでいます。詳細は時間の関係でここでは述べられませんが、普段でも少ない工賃が、コロナの影響で販売機会は減り、企業から委託される仕事も激減しています。雇用契約を結んでいないB型事業所は「雇用調整助成金」の対象にもなっていません。こうした実情を踏まえ、市としてどのような支援が考えられるかお聞きします。
参考までにふじみ野市ではB型事業所と生活介護事業所に対して前年度より工賃が減っている場合減少分の8割を補助するための予算を補正に計上し先決したそうです。
高橋副市長の回答
要介助・介護者やそのケアラーが感染した場合の対応について
高齢者や障害者を介助するケアラーが新型コロナウイルスに感染し入院した場合、高齢者や障害者が一時的に利用するための居室を埼玉県が確保しています。市内のサービス事業所にその情報を提供しています。さいたま市では、ヘルパー派遣など居宅サービスを行なっている事業所に通常のサービス提供時には想定されない緊急時の対応として、割増賃金や衛生用品などの購入費等を補助することにより、サービス提供体制の確保を図っています。
施設に対する支援策について
新型コロナウイルス感染症の拡大により、市内の就労施設においても生産活動が縮小し、工賃が減少している現状がある。本市では昨年4月から雇用調整助成金の対象とならない、就労継続支援B型事業所の利用者を対象に、減少した工賃の8割を支援する補助事業を実施しています。さらに、就労継続支援A型、B型の事業所に対し、設備投資や施設維持費など、生産活動の再起にむけて必要となる経費についての補助事業を実施している。
今後も必要な支援について引き続き検討していく。
でんだの再質問
独り暮らしの高齢者や障害者が感染したとき、ヘルパーさんが感染したとき、その瞬間から生活が立ち行かなくなってしまう。埼玉県が用意しているところに行くしかないのか。どうやって行けばよいのか。どうにかならないのか。
高橋副市長
できうる限りの対策を考えたい
(2)女性への対応について
① 支援策について
コロナの感染拡大が女性に及ぼす影響を議論する内閣府の有識者研究会が「女性に不利な日本の社会構造が顕在化した」と分析しました。就労状況においては、医療や介護、保育に携わるいわゆるエッセンシャルワーカーなどに女性が多く、雇用者数の減少は男性の2倍以上とも言われています。更にDVや自殺防止対策、相談体制の早急な強化などが求められていますが、こうしたコロナ禍における女性への支援として市はどのような対策を行っているのか、お聞かせ下さい。
② 相談体制について
DVや性被害、住む家がないなど、コロナ禍で春以降女性の相談が数多く寄せられていると言われています。市の現状とこのような相談について市はどのように対応しているのかお聞かせ下さい。
③ 婦人相談員の処遇について
さいたま市の婦人相談員募集案内をHPで見ました。募集人員1名程度、任期は1年、会計年度任用職員となっています。社会福祉士や臨床心理士、保健師など高度な資格を求められており、時給は1120円。特にさいたま市が低待遇なわけではなく、全国に約1500人しかいないこの婦人相談員の8割は非正規です。なぜ低待遇なのか。ある大学の先生は「家事や子育てには感謝はあっても賃金はない。人に対する支援の仕事は女性の『お世話』の延長で考えられ、労働として正当に評価されてこなかった。」と性別によるジェンダーを指摘しています。SDGsはジェンダー平等を掲げています。さいたま市もジェンダー平等という視点で先ずは婦人相談員の処遇を見直すべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせ下さい。
日野副市長の回答
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、女性をはじめ弱い立場にある人々がより深刻な影響を受けることは、重大な課題と認識しています。ジェンダー平等に基づき施策立案を行なうよう組織されたさいたま市男女共同参画推進本部会議においても全庁的に認識しています。
女性やDV被害者への支援として、相談を継続実施していると同度に内閣府で開設している「DV相談プラス」の周知を行なっている。自殺防止対策については、メンタルヘルスに関する相談を行なっています。暮らしの困りごとと心の総合相談会を開催しています。また、市民と接することの多い、区役所等職員を対象に、自殺を防ぐ門番としての「ゲートキーパー研修」を実施しました。
SDG’sの人権尊重、“誰ひとり取り残さない”基本理念のもと施策を取り組みます。
婦人相談員の処遇について
令和2年度より、非常勤特別職から会計年度任用職員に移行した。これにより、期末手当の支給や、夏季休暇等の取得などが可能になった。相談には、高い専門性とスキルが必要であり、婦人相談員の要望を聞き、必要とされる研修やメンタル面でのケア等を実施するなど長く働きやすい環境にしていく。
DV相談プラス 内閣府の特設サイト
DV相談プラス|内閣府 DVのお悩みひとりで抱えていませんか? (soudanplus.jp)