3.地域の力を豊かに

長い介護生活の果てに配偶者や親を死亡させてしまう事件は後を絶たず、厚労省によると2010年から約10年間で224人の高齢者が命を落としているそうです。近年地域のつながりが希薄になり、介護する方も自分が頑張らねばという強い使命感でご近所に相談もできず、またご近所の方々も介護で追い詰められていることに気づきにくくなっているというのが現状です。このコロナ禍で地域のつながりも更に弱くなるのではと危惧しております。そして地域のつながりは一朝一夕でできるものではありませんし、行政のリーダーシップも不可欠です。そこでコロナ後を見据えて、いくつかお聞きします。

(1)高齢者が外出しやすいまちづくり

コロナ禍の影響もあり、路線バスが減便されたり廃止されたりしています。また免許返納も多く、今高齢者の足の確保が求められています。「さいたま市高齢者保健福祉計画等策定のためのアンケート調査」の結果報告書によると、高齢者が外出する場合、買い物が最も多く(86%)、通院(59%)、散歩(47%)となっています。外出を控えている場合の理由としては、交通手段がない、経済的に出られない、外での楽しみがないなどとなっています。市では高齢者等の移動支援モデル事業が実施されており、その成果の上に立って全市内的な展開が期待されますが、この事業の進捗具合、また今後の展開についてお聞かせ下さい。
更に介護保険を使っての送迎支援サービスについて伺います。このサービスは「訪問型サービスD」といって、自治体が地域の実情に応じて提供する総合事業のうち、介護予防・生活支援サービス事業のメニューの一つです。ただこの事業を行っている自治体は民間の調査でわずか3%にとどまっているとのこと。さいたま市ではどのような状況になっているのでしょうか。お聞かせ下さい。いずれにしてもこうした高齢者の移動支援の担い手は地域住民や民間団体だと思われます。課題も多くあるとは思いますが、足の確保は家に閉じこもりがちな高齢者にとって喫緊の課題です。担い手の育成や補助金の在り方なども含め、高齢者が外出しやすいまちづくりの在り方についてどのようなご見解をお持ちなのかお聞かせ下さい。

高橋副市長の回答

高齢者等移動支援モデル事業 令和元年度に岩槻区の2地区で実施。
 自治会を実施主体として、近隣の高齢者施設の協力により、市内のスーパー、駅までの送迎を行ない20回の運行でのべ104人に利用された。現在は新型コロナウイルス感染症対策の一環で事業を休止している。

利用者からは好評であった。導入の相談もあった。令和3年度から対象地域を市内全域に拡大して高齢者等移動支援事業として本格実施していきたい。

(2)災害時の支援

気候変動で、大きな災害が相次いでいます。国は自力避難が困難な高齢者や障害者、いわゆる災害弱者の逃げ遅れが後を絶たないことを受け、来年度の通常国会で災害対策基本法を改正する方針を固めたそうです。一人一人の避難方法を事前に決めておく個別計画を同法に基づく法定計画へ格上げし、市区町村の努力義務としました。残念ながら、対象者全員の計画を作成した市区町村は2019年6月時点で12%に留まりますが、さいたま市の個別計画策定の状況をお聞きします。

日野副市長の回答

個別計画策定の対象者は、避難行動要支援者名簿の掲載要件に該当し、平常時にも自分の情報を自治会・自主防災組織・民生児童委員へ開示することを同意した、事前提供用名簿掲載者となります。この名簿をもとに計画を策定する。
自主防災組織662からの算出。事前提供用名簿掲載者数29883名のうち個別計画策定済は520名分で、約1.7%にとどまっている。

名簿を利用した安否確認の訓練実施を働きかけたところ。地区防災計画の策定支援を行なっている。

(3)鉄道駅を地域の駅に

首都圏でも駅員不在の時間帯のある鉄道駅が増えてきました。この問題については、まちづくり委員会でも取り上げてきましたが、交通政策課だけでは到底乗り越えられないのではという思いに至り、この場で取り上げることにしました。国土交通省によると、日本の総駅数9,465に占める無人駅の割合は、2019年度ですが、48.2%、数にすると4,564駅、つまり約半数が終日駅員が不在、もしくは不在の時間帯のある駅です。もはや障害者だけではなく、高齢者や妊婦さん、子どもたちなどほとんどすべての市民に関わる問題となっています。私の地元の土呂駅でも駅員不在の時間帯が増えました。不在の場合はインターホンで連絡することになっていますが、聴覚障害者への対応はありません。近くには聴覚障害者の特別支援学校があります。盆栽美術館もあります。外国の方や高齢者が訪れることも多いでしょう。駅員不在ではご案内もできません。ボランティアや地域の力をお借りして、みんなの駅、地域の駅として誰にとっても安心・安全な駅にすることはできないものでしょうか。コロナ禍で今は鉄道利用客も減っていますが、それを口実に駅員不在時間帯が増えてしまうのではないかとも思います。ハードルは高いかもしれませんが、部局を超えて無人駅という課題を共有して頂きたい。ご見解を伺います。

阪口副市長の回答

駅係員の不在時の安全確保について要望中。国土交通省が「鉄道駅を中心とした地域サポートアシスタントのスタートアップガイドブック」を平成30年3月に作成されている。また、国土交通省で当事者団体、鉄道事業者、国土交通省の意見交換会が行なわれており、ガイドラインを作成するとのこと。この国の動きを注視しながら対策に取り組んでいきたい。

鉄道駅を中心とした地域サポートアシスタントのスタートアップガイドブックについての国土交通省のページ

https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk2_000049.html

(4)プレイパークについて

コロナ禍で子どもたちの運動不足が問題になっています。1回目の緊急事態宣言が発令された際は、全国の小中学校や高校では、数か月にわたって臨時休校となり、部活動も休止される中、子どもたちの運動不足や体力の低下が懸念されていました。また、今回の地域限定の緊急事態下でもさいたま市は対象地域となり、不用・不急の外出は制限されています。子どもたちの有り余るエネルギーはどうやって発散すればよいのでしょうか。せめて近くの公園で遊べるときは思い切り楽しく遊べる公園が必要ですが、最近の公園は何かと禁止事項が多くなっています。横浜市のHPからの引用ですが、「プレイパークとは子どもたちが思いっきり遊べるように、極力禁止事項をなくし、自分の責任で自由に遊ぶことを大切にした活動」です。横浜市には現在25ヶ所ほどのプレイパークがありますが、「横浜にプレイパークを創ろうネットワーク」という民間団体の運営によるものです。さいたま市でもこうした子どもが気兼ねなく生き生きと遊べる公園を望む声が大きくなっていますが、こうした声を市としてどのように受け止めていくのか。先ずは現状と課題、今後の取り組みをお聞かせ下さい。

高橋副市長の回答

遊び方のルールや禁止事項をなるべく作らず、通常の都市公園にあるような既存の遊具を置かず、子どもたちの自由な発想でつくりあげていく遊び場。
子ども家庭総合センターに平成30年4月プレイパーク冒険はらっぱを常設。別所沼公園内で平成19年度より、プレイリーダーによる子どものサポートを行なう「あそびの森」を定期的に行なっています。いずれも子どもたちが様々な体験ができると好評を得ています。

一般の公園でのプレイパーク開催は、本来禁止されている火の使用などルールに縛られない自由な遊びを実現するためには場を提供するだけでは不十分。一般公演利用者の安全確保、プレイリーダーの確保が課題としてある。

プレイパークとは・さいたま市のプレイパーク

●(1)~(4)を考え実行していくことで、みんなが参加していく“しかけ”が作れるのでは。

災害時の支援について、現状をお聞きするとまだまだ厳しい数字だなあと思います。ただ、積極的に取り組んでいる市内の自治会もあるので、ぜひこうした自治会の先進事例を参考にしながら進めていっていただきたいと思います。また、名簿に掲載されている方々にも地域の防災訓練などに参加されるよう積極的な呼びかけをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。