2021年2月定例会の2月8日、民主改革さいたま市議団を代表して質問を行ないました。
コロナ禍のなかで、孤立化が進んでいます。自分の属している集団・文化の中でのみ暮らしていて、その外側にいろんな人がいるという多様性が失われています。
そんな昨今だからこそ、障害がある人もない人も、若い人も高齢者もみんなが一緒に暮らしていける社会はどうすれば実現にちかづけていけるのか。
そういう問題意識から質問しました。

代表質問の模様は下のリンクからご覧いただけます。

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1805

質問内容は

1.多様な人たちがともに暮らす社会の実現に向けて

最近、よくデイサービスや障害者施設への送迎車、特別支援学校のバスとすれ違います。これからそれぞれの場に行って、一日を過ごすのだろうと思います。それぞれの場で福祉が進み、豊かになっていくことに私たちは全力をつくさなければなりません。ただ、ここでちょっと視点を変えて福祉という場ではなく、地域の中で、まちの中で多様な人たちが一緒に学んだり、働いたり、遊んだりするにはどうしたらよいのだろうかという視点で先ず質問させていただきます。

●街の中で地域の中で多様な人たちが、一緒に学んだり、働いたり、遊んだりするにはどうしたらよいのでしょうか。

(1)学校のバリアフリー化について~ともに学ぶために

平成24年7月に公表された中央教育審議会初等中等教育分科会報告において、「就学基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、専門家からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。」との提言がなされたことを踏まえ、学校教育法の一部改正が行われました。またこうした改正に合わせるかのように文科省も学校のバリアフリー化について初めて実態調査をしました。昨年5月1日時点での速報値ですが、全国の公立小中学校28,131校中車いす使用者用トイレ設置校が18,292校、65%、エレベーター設置校が7,610校、27,1%だそうです。そこでお伺いします。

 ① 就学先決定について

就学先決定に関して障害児は原則特別支援学校へということから総合的な観点で就学先を決定するという仕組みに変わったことについて、教育長のご見解をお聞かせ下さい。
 ●平成24年7月、中央教育審議会・初等中等教育分科会報告で、「就学基準に該当する障害のある子どもは原則、特別支援学校に就学する」就学先決定から「障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、専門家からの意見、学校や地域の状況などをふまえた総合的な観点から就学先を決定する」ようにすることが適当という提言がなされた。

 ② エレベーター・多目的トイレの設置率について

さいたま市立の小・中学校のバリアフリーについて、エレベーター、多機能トイレの直近の設置率を教えて下さい。
 ●全国の公立小中学校28131校中、車いす使用者用トイレ設置校:18292校・65%、エレベータ設置校:7610校・27.1%。文科省が学校のバリアフリーの実態調査を行なった。

 ③ 今後の取り組みについて

昨年6月にバリアフリー法が改正され、令和3年度から公立小中学校などを新築する際は、多機能トイレやスロープ、エレベーターなどの整備が義務となり、既存の校舎などでも整備が求められています。さいたま市では特別支援学級の設置率は100%に近づいています。通常の学校においても様々な子どもたちが学び、また、学校は災害時の避難所にも投票所にもなっています。今後市として学校のバリアフリー化にどのように取り組んでいくのか、お聞かせ下さい。

細田教育長の回答

就学先決定について

教育委員会としては子どもたちの可能性が最も伸長できる教育を行なうために、本人・保護者の意向を尊重しながら相談をすすめ、就学先を決定していくことが重要と考えています。本市の就学相談は子どもの発達や障害の状態、教育的ニーズ等を十分に把握しながら丁寧に行なっている。また、就学支援委員会からの教育学、医学、心理学など専門的知見からの意見をふまえ、本人・保護者の意向を最大限尊重しながら就学先を決定している。今後も共生社会実現に向けて取り組んでいきます。

エレベーター・多目的トイレの設置率について

令和2年12月末時点で、エレベーターの設置率について、小学校38.5%、中学校20.7%。校舎への多目的トイレの設置率については、小学校は63.5%、中学校は72.4%となっています。

今後の取り組みについて

学校施設は避難所などにも使われるため、児童生徒のみならず、障害のあるかたや高齢の方が利用しやすい環境を整備していくことが求められている。そのため、学校施設のバリアフリー化は新設校の建設や校舎の増改築の際に多目的トイレ、エレベーター、車いす用スロープ等を設置しており、多目的トイレについては毎年のトイレ改修の際にも設置しています。スロープ等設置していない学校は児童・生徒の入学に合わせて、相談の上、スロープ、手すりの設置、トイレの便器の洋式化などを行なっています。エレベーターの無いところでは、車いすの生徒の在籍する学級を1階に配置、椅子式階段昇降機を設置したりしています。
多様な施設整備を図っていきます。

(2)障害者への就労支援~ともに働くために

昨年2月から6月の間に企業などを解雇された障害者は1104人で、昨年同期に比べ152人(16.0%)増加したことが厚労省のまとめで分かりました。コロナによる経営悪化で雇用を維持できなくなったことが一因といわれています。障害者の法定雇用率は年々上がっており、今年3月1日から民間企業が2.3%に、国、地方公共団体が2.6%に、都道府県等の教育委員会が2.5%にそれぞれ0.1%づつ引き上げられます。終息が見通せないコロナ禍のもと、非常に厳しい数値であることは分りますが、助成金の活用や人的支援などを駆使して支援すべきです。そこで伺います。

  ●昨年2~6月に解雇された障害者は1104人。前年同月比152人・16%増加している。

 ① 重度障害者への就労支援について

さいたま市は重度訪問介護を就労中にも利用できるように市単独事業を始めました。国に先駆けた非常に評価できる事業です。テレワークも進み在宅で仕事をする障害者はこの事業を使いながらこの先増えていくと予想されます。更に通勤や自宅以外の仕事場で介助者とともに働くことができれば、就労の機会がもっと増えていくと思うのですが、今後のこうした取り組みについてご見解を伺います。

 ●さいたま市では国に先駆けて、在宅の重度障害者の就労支援制度を実施しているが、通勤時や職場での支援は行なわないのか。


 ② ソーシャルファームについて

しあわせ倍増プランの中で、障害者の働く場づくりの推進として「就労が難しい障害者の働く機会を拡大するため、ソーシャルファームを3ヶ所を創設できるよう支援します」とあります。そもそも市としてソーシャルファームをどうとらえているのか、はっきりしていませんでした。各年度の取り組み内容を見ると、平成31年度には指針策定とあります。先ずその内容をお聞きかせください。2019年に、東京都は「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャル・ファームの創設の促進に関する条例」(条例第91号)を公布しました。
策定の趣旨は誰もが生き生きと活躍できる「ダイバーシティ」を実現し、お互いの個性を尊重し、互いに認め合う共生社会の実現を目指すとあります。まさに共生社会の実現というところに東京都はソーシャルファームを位置づけています。そこでさいたま市としてはソーシャルファームに関して今後どのような位置づけでどのように取り組んでいくのかお聞かせ下さい。

 ●ソーシャルファームをどのように位置づけているのか
   》ソーシャルファームとは

高橋副市長よりの回答

重度障害者への就労支援について

さいたま市重度障害者就労支援事業は在宅における日常生活の支援は就労の有無に関係なく必要不可欠であるという視点から、平成31年4月から重度障害者の在宅就労中の支援を実施してきました。通勤や自宅以外の仕事場での支援は混雑時の通勤介助や職場でのセキュリティ上の課題があり、また企業との関係が欠かせないことから、今後、他の市町村の取り組みを参考にしながら検討してまいります。

ソーシャルファームについて

「さいたま市ソーシャルファームにかかる指針」を定めた。ソーシャルファームとは、一般企業への就労が困難な障害者が生きがいのある充実した生活をおくるため、障害のない方と共に働く場と定義しました。指針では、市と協力関係を結んだ事業者は企業的経営手法を用いソーシャルファームの創設・運営を行ない、市民を優先的に採用することとしております。一方、市は障害者総合支援センターに登録されている障害者のうち就労を希望する方に対し、事業者が実施しているソーシャルファームを案内し、マッチングをはかるなど、市と事業者がそれぞれ役割を定め、協力して取り組むとともにソーシャルファームに創設については、これまでに2件の創設を支援しました。本市におけるソーシャルファームについては東京都と同様に、誰もが支えあいながら共に働く考えに立って就労支援を進めています。今後は、創設支援をした2件について、引き続き支援を継続するとともに、現行の特例子会社及びソーシャルファームの創設を支援する手法に限定せず、障害者を雇用していない事業者に、障害者の雇用を働きかけるなど多様な形態の働く場づくりを進めていきたい。

(3)多様な子どもたちが遊べる公園を~ともに遊ぶために

昨年の春、障害のある子どもたちもない子どもたちも一緒に遊べるインクルーシブな公園が世田谷区にできました。きっかけは一人の都議会議員の提案でした。アメリカに住んでいた頃、障害のある2歳の息子とよく遊びに行った公園はスペシャルニーズのある子どもたちも遊べるように配慮された公園だったそうです。帰国して気が付いたのは日本にはこうしたニーズに応えられる公園がないということでした。ただ実際に公園を手掛けるのは都の建設局で、インクルーシブ公園など手掛けたことはなく、彼女は都の職員に障害児のママたちにヒアリングをしてもらったり、「みんなの公園プロジェクト」という団体を紹介したりして2年ほどかけてようやくオープンに至ったそうです。(写真掲示)

写真説明

この写真は世田谷区の砧公園内みんなの広場にある看板です。私がなかなか行けないので、同じ会派の出雲議員に撮ってきてもらいました。看板にはこう書いてあります。「この広場が目指すのは、障害のある子もない子もみんなが楽しく遊べること。そしてこの場所が、大人の皆さんにとっても多様性を身近に感じる、新しい出会いの場所になることです。」イラストで描かれているのは「みらい号」という船の形をした遊具で、車いすの子どもたちも「乗船」し、すべり台で遊べる遊具です。

今後の公園についてこうしたどんな子どもたちも一緒に遊べるという視点で整備していくことについてご見解を伺います。

阪口副市長の回答

インクルーシブ公園とは、肢体の障害のみならず、視覚や聴覚、知的障害や発達障害など多様な障害のある子どもたちが、障害のない子どもたちと隔たり無く遊べるように配慮された公園であると認識しています。今後の方針におけるインクルーシブ公園については、先進事例がでてきていることから、広く他都市の事例収集を進めるとともに、障害のある子どもたちなど利用が想定される関係団体の方々と十分に意見交換をしながら、どのような公園を何処に作るのかしっかり把握してニーズにあった公園整備のあり方を積極的に検討していきます。

さいたま市のソーシャルファームの位置づけは一般企業への就労が困難な障害者が生きがいのある充実した生活を送る為、障害のない方と共に働く場である。と考えてよろしいでしょうか。

インクルーシブ公園については、必要なのは担当者の方々の熱意だと思います。どうしてこういうインクルーシブな公園が必要なのかとか、いろいろな子どもたちが一緒に遊ぶことの大切さとかを考えて検討して頂ければ、きっとみんなが楽しく遊べる公園ができると思います。宜しくお願いします。